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プロジェクトレポート

危機的な時代の中にある叫び

文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

2020年が幕を開け、中東情勢はさらに混乱の様相を呈してきました。
そうした不安定な情勢の中で、ホロコースト生存者や新移民らは厳しい冬の寒さとも闘っています。

Photo by Precious Fleming/bridgesforpeace.com

「バラガン」―。このヘブライ語が今、私の脳裏に浮かんでいます。意味は、無秩序あるいは大混乱。今、イスラエルはまさしく多方面で無秩序や大混乱に直面しており、イスラエル国家とそこに住む人々に影響が及んでいます。

イスラエルは寒い冬の季節となり、氷のような冷気が家々に入り込んできました。その一方で、この地域を取り囲む温度は一気に上昇しています。イランがバグダッドにあるアメリカ大使館を攻撃し、それに対しトランプ米大統領は、イラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官の暗殺を指示。イスラエルはこの問題に直接関与はしていませんが、突如、重大な脅威が新たにイスラエルに向けられることとなりました。脅威レベルが新しい段階に入ったため、イスラエルはミサイル迎撃システムのアイアンドームを北部に移動。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)にも緊急対応時の情報パックが配布され、リーダーたちは緊急の祈りを呼び掛けました。クリスチャンとユダヤ人の双方から聞こえてくるのは、ゴグとマゴグの戦いです。現時点でかなり混乱した状況ですが、私たちは平和を祈り求めつつ、戦争にも備え始めています。

1月に発生した洪水 Photo by
Катаклизмы и катастрофы
природы/Youtube/Screenshot

同時に、強風と激しい寒さを伴う豪雨がイスラエルを襲いました。ここイスラエルでは雨は歓迎されるものですが、今回は一度に大量の雨が降ったため、排水システムの限界域を超えてしまい、多くの地域で洪水が発生。悲劇的なことに何名かの方が命を落としました。25歳の若者2人が地下駐車場のエレベーターに閉じ込められ、助けが来る前に溺れ死んだことを知り、全国民がショックを受けています。

暖房設備が不十分なアパートの住民たちは寒さに震えています。湯たんぽだけで暖を取るという家庭も珍しくありません。高齢となったホロコースト生存者や到着したばかりの新移民たちは、十分な寒さ対策を取れず、厳しい環境下に置かれています。

イスラエルの石づくりの家がどれほど冷えるかは、体験した人でなければ分かりません。貧しい家庭では、氷のように冷たくなった石壁を温めるような暖房器具は持っていません。たとえ暖房器具があったとしても電気代が高くて支払うことができないのです。こういう家庭は大抵温かいシャワーがあることも少なく、震えながら体を拭くだけの人もいます。私自身、ここエルサレムでガスの故障のため、水でシャワーを浴びる機会がありました。シャンプーを洗い流す間、あまりの冷たさに氷を食べた時のように頭がキーンと痛み続け、しまいには手足が感覚を失ってしまい、シャワーを出た後も震えがいつまでも止まりませんでした。この経験の後では、どうしてもシャワーを浴びる勇気が出ず、ガスが直るまでの数日、あのつらい思いをするよりも…と、汚れたままでいることを選びました。私の場合は期限付きの忍耐でしたが、貧しい方々にはそれが日常であり、いつその状態が改善されるのか先が見えません。

数年前、あるBFPボランティアが食料を配達していたところ、1人の老婦人が床の上に横たわって震えている姿を目撃しました。彼女は1枚の薄いタオルを体に巻き付け、何とか体を暖めようとしていました。帰還してきたばかりで、生活必需品を何も持っていなかったのです。そのボランティアはBFPのアシスタンスセンターに戻ると、毛布が必要だと告げました。これが毛布配布プログラムの始まりです。以来、私たちは何千枚もの毛布を新移民の方々にお配りしています。

Photo by bridgesforpeace.com

私がいつも心を痛めているのは、ホロコーストで苦しんだ方々の中に、このような苦労をしている人がいるということです。収容所では、愛する家族から引き離され、強制労働をさせられ、食べ物もろくに与えられず、寒い冬でも十分な衣服もなく、餓死者、凍死者が毎日出るような、死と隣り合わせの日々を過ごしました。そんな彼らが、やっと約束の地にたどり着いた後で、再び寒さに震える冬を幾つも越していることが、耐え難い痛みとなって心に迫ってきます。せめて、私たちが配る毛布で彼らを温めたいのです。

今は危機的な時です。過激派イランの現実的な脅威と共に、冬の寒さによる低体温症の危険があり、極めて切迫した必要があります。

BFPはイスラエルで何十年にもわたり活動を続け、多くの困難な時代を乗り越え、イスラエル市民と共に立ち続けてきました。最近、カーミエルのBFPアシスタンスセンターを訪れた若い移民夫婦がいます。祖母と4歳になる娘を連れ、ウェルカムギフト(鍋とフライパン、聖書、子どもの学用品、毛布)を心から喜んで受け取っていきました。祖母は、彼らよりも一足先の7年前にイスラエルに帰還しています。「イスラエルで最初に受け取ったのが、BFPからの贈り物でした!」。彼女は到着したばかりのころを思い出しながら、声を張り上げて話してくれました。世代から世代へと、私たちは神の愛を具体的な方法で示し続けています。私たちがこのご家族に差し上げた毛布は、寒い冬の雨が降る直前という、まさにぴったりのタイミングでした。

この先どうなるかは誰にも予測がつきません。イランとの戦争が勃発するでしょうか。あるいはエゼキエル書で預言されたゴグとマゴグの戦争のように、状況はますますエスカレートし、多くの国々を巻き込むことになるのでしょうか。

神が「このような時のために」(エス4:14)、BFPをこの地に置かれたと確信しています。今は危機の時、バラガンの時、必要に迫られている時です。皆様はイスラエルと共に立ち続けますか。彼らが一人ではないことを示すため、共に協力することができたらと願っています。イスラエルの人々に暖かい毛布を提供し、迫りくる戦争に備えるため、ぜひ皆様のお力を貸してください。新移民ウェルカムギフトへの寛大なご支援により、さらに多くの方に毛布を贈ることができます。また、危機基金へのご支援によって、危機的な時代における深刻なニーズを満たすことができます。恐ろしいほどに寒さが増すこの時代にあって、神の愛の温かさをもたらすため、ぜひこの働きにご参加ください。

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