プロジェクトレポート

苦悩に寄り添って

文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

わが子の成功を願わない親はいません。しかし、経済的な理由から満足の行く教育を受けさせられない時、親は心に大きな痛みを覚えます。学校生活を支援するキッズプログラムは、子どもたちだけでなく、そんな親御さんにも希望をもたらしています。

「キッズプログラム」は、支援を受ける子どもたちとご家族にとって輝く希望の光です Photo by HannahTaylor/bridgesforpeace.com

「今月やりくりしていけるかしら…」。ルース・バラザーニさん(仮名)は、山積みの請求書と10代になる二人の子どもたちの必要を突き合わせては、毎月頭を悩ませていました。シングルマザーである彼女は、医療写真家として何とか生計を立てています。経済的な心配に加え、幼い子どもを残して出ていった夫に対する心の傷を抱えています。ルースさんは子どもたちの必要を満たそうと懸命に働いていますが、それでも十分には賄えません。経済的不安によるストレスはルースさんの子どもたち、特に娘のシガルさん( 仮名)にも引き継がれてしまいました。

テヒラ・エヴェリナ・デ・ロスチャイルド高校に入学した当初のシガルさんは、日々悪戦苦闘していました。後に「注意欠陥障害(ADD)」と診断されたように学習障害を抱え、規律上の問題もありました。放課後に特別学習プログラムを受ける必要があると言われましたが、これらはルースさんに重くのし掛かりました。娘には成功してもらいたい一方で、追加プログラムへの参加は経済的に無理な相談だったからです。しかし、それも「キッズプログラム」に登録する前のことです。クリスチャンの里親からの支援のおかげで、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)はバラザーニ一家に寄り添い、その必要を支えることができました。特別学習プログラムのかいもあって、着実かつ確実に、彼女は勉強に集中できるようになっていったのです。

最終学年を迎えた今年、シガルさんはまるで別人のように変わりました。一進一退を繰り返しながらも、もはや家庭の状況を心配することなく、将来に希望を抱くようになっています。さらに、彼女の通うテヒラ・エヴェリナ高校は過去数年にわたり、大学入試において素晴らしい結果を出しています。ビバリー・グリベッツ校長は、この成功は「キッズプログラム」によるところが大きいと言います。キッズプログラムの支援で、シガルさんのような生徒たちも、経済的に安定した家庭の生徒たちと同じように勉強ができるおかげだ、と。

成功を求めて

「キッズプログラム」は、子どもたちが教育の目標に達するのを助けるだけでなく、親御さんたちを力付けることにも貢献しています。子どもの教育面での必要が満たされることが分かると、親御さんは肩に重くのし掛かる負担から解放され、常に付きまとう経済的不安というプレッシャーからも解放されます。シガルさんは言います。「『キッズプログラム』に参加できたことで、私の中で何かが変わりました。より多くを感謝できるようになり、世の中の良いことに目を向けられるようになったのです。母を見る目も変わり始め、母が私や兄のために払ってくれた犠牲とその重みを理解するようになりました。私自身さらに向上していきたいと思えるようにもなりました。BFPの皆さん、どうもありがとうございます。皆さんは本当に私の人生を良い方向に変えてくださいました」

他にもハンナさん(仮名)という生徒がいます。彼女は高校卒業と同時に「キッズプログラム」からも卒業しましたが、その際BFPに以下のような感謝の手紙を送ってくれました。

「皆さんが愛をもって私を温かく支援し、受け止めてくださってから、あっという間に6年がたちました。高校課程を終えようとしている今、自分自身と自分が達成できたことを誇りに思いますが、それ以上に皆さんが私の人生で重要な役割を果たしてくださったこと、またこれからも私の心に残り続けることを誇りに思います。どうもありがとうございます。すべての必要は満たされ、あらゆる点で好成績を収めることができ、卒業の運びとなりました。皆さんはこの世のすべての賞賛に値する最高の方々です。お別れはつらいですが、卒業の時が来ました。すべての終わりには新しい始まりがあります。心の底から感謝いたします。私の人生において忘れ難い役割を果たしてくださって、ありがとうございました。遠く離れた地から愛と支援をもって温かく包んでくださったことに感謝申し上げます。本当にありがとうございます。神さまが皆さんのご支援に対し何十倍にも報いてくださいますように。皆さんのご多幸をお祈りいたします。

愛と感謝を込めて、ハンナ」

支援を受ける子どもたちやそのご家族にとって「キッズプログラム」は、温かく栄養ある食事を受け取る以上に、暗い状況下にあって輝く希望の光となっているのです。ルースさんは「昼食のサンドイッチを持たせなきゃ」と心配する必要はありません。教科書もリュックも遠足の費用も、課外活動やタブレット・コンピューターの代金も心配しなくていいのです。

十二分に

BFPからの支援を心から喜ぶ子どもたち
Photo by HannahTaylor/bridgesforpeace.com

「キッズプログラム」の目標としてBFPは左記を掲げています。「今後急増するであろう必要に応えるべく、さらに多くのイスラエルの子どもたちが成功できるよう支援する」。現在、10校にわたり400人ほどの子どもたちを支援していますが、支援を必要とする方々はまだまだ大勢います。新学期が始まった9月、家計の厳しいご家庭の生徒たちをさらに支援してほしいという要請が、BFP事務所に数多く届いています。

当プログラムをご支援くださっている日本の皆様に、深く感謝を申し上げます。日本にも、イスラエルと同様の悩みを抱えるご家庭が増えていると聞いています。そうした中、皆様の愛の支援は、天に蓄えられ覚えられています。主が皆様の行いを義とされ、日本にも救いの手を差し伸べてくださいますように。皆様の思いに主が応え、イスラエルの家族や子どもたち、そして日本の子どもたちが手を携え、彼らが成功し、最大限の可能性を発揮できますように。私たちはこれからも真摯(しんし)に、イスラエルと各国の子どもたちのために仕えていきたいと願っています。

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