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被災地巡回レポート

ほんの少しの優しさ

TEXT:B.F.P.Japan日本災害支援

熊本・大分地震から4度目のクリスマスとなる昨年12月、ゴスペルシンガーの上原令子氏と共に九州(宮崎・熊本)を巡回する機会が与えられました。イスラエルを愛し、日本の救いのために長年尽力し、愛を実践する上原令子氏と共に主の栄光を見させていただきました。

約4年振りの再会を喜び合う。右から諸藤(もろふじ)栄一さん、神薗悟先生、益城病院理事長の奥様、上原令子氏

最後のお一人まで

被災地の方々に寄り添い続けておられる九州キリスト災害支援センター(略称:九キ災)のご案内で実現した、熊本益城町(ましきまち)でのクリスマスコンサート。仮設住宅集会所には、まるで自宅にいるような親しさと心地良さがありました。その温かな空間は、九キ災の方々が約4年という年月を掛けて築き上げた信頼の上に育まれていることが一目で分かります。参加された被災者の皆さんは、熊本県が建築を進める災害公営住宅の完成を待つ方々。多くの仲間が既に引っ越しており、昼間でも寂しい感じがする仮設の敷地内。夜はどんなに寂しくて心細いだろうか…と思わされました。そんな皆さんと一緒に「ハッピー・バースデー・ジーザス!」と歌いながら、目に見えない神さまに思いを馳せる一時を過ごしました。

熊本県の災害公営住宅は12市町村で1715戸を建築予定。昨年12月時点では約700戸が未完成で、今年3月までに全戸が完成予定ですが、すぐに引っ越しができるとは限らないそうです。引っ越し費用や諸事情から、完全に移動するまでに約半年を要すると予想されています。「最後のお一人が無事に引っ越しを終えるまで、私たちは寄り添い続けます」と、九キ災の諸藤(もろふじ)栄一さん。諸藤さんやチームの皆さんの立ち振る舞いや言葉には、柔和さと知恵が満ちていました。被災者の皆さんと一緒にさまざまな状況を通り、闘ってきたからこそ持ち合わせる優しさだと感じました。

主に覚えられ、喜びにあふれる

今回、すてきな再会の場面も。益城病院(19年5月移転開設)の関連施設でのコンサートに、水俣福音キリスト教会・神薗悟先生が駆けつけてくださいました。先生は、災害発生当時、教会メンバーと共に(旧)益城病院で炊き出しをされました。今回、「あ〜! あの時に炊き出しをしてくださった方々でしたか!」と、病院の理事長の奥様と涙と喜びの再会。「すべてが混乱している中での炊き出しが、どれほど温かったことか…。一体どこの誰がしてくださったのかが気になっていました。でも確認する余裕はまるでなかった。今日、お礼を言うことができて本当にうれしい!」と、涙が止まらないご様子。その言葉をただ黙って満面の笑みで受け止めておられる神薗先生の姿は、理事長の奥様以上に喜びに輝いていました。与える者は幸いである、このみことばが響きます。

ほんの小さな優しさでいい

親しさと心地良さが漂う上原令子氏のコンサート

上原令子氏のコンサート活動は、東北の被災地においても、多くの教会や団体の励ましとなっています。東日本大震災直後、まだ混乱状況の中、「こんな時に歌を歌って何になるのだろうか…」という葛藤を抱えていた上原氏。そんな時、少し離れた所にいた男性が「歌を聞いて生きようと思った。来て良かった」と声を掛けてくれたそうです。ふと見るとその男性は裸足の状態。このことがきっかけで、自分にできることをさせていただこうと決心したそうです。「少しでも励ましになれば…顔を少しでも上げ、前に進もうと思えるような、そのきっかけになればうれしい。自分は精一杯のことをしよう。後は主が働いて、その方にとって良いことをしてくださる…」。以来、多くの方々に励ましを届けておられます。

なぜ主が上原氏をこのように用いておられるのか、そこには「愛の実践」という裏打ちがあります。それは上原氏の養母(ママちゃん)の存在です。生後4カ月でママちゃんの子どもとなって以来、ママちゃんは上原氏をこよなく愛してくれました。特にママちゃんが天に召される最晩年の数年間は、時間が許す限り彼女を訪ね、お互いの存在を喜び合い、愛の言葉を掛け合う…それが日課になっていたそうです。聞いているほうが恥ずかしくなるような熱烈な愛の語らい、その麗しい様子を知った会衆は何とも表現し難い平安に包まれていました。

人生のドン底、涙の谷にいる時に、誰かが自分に優しくしてくれたことを思い出し、今度は自分が誰かに優しくできたらいいな、そうしたいな。大きくなくていい、ほんの少しの優しさを実践できたらいいな、そう思わされます。「今日も生きてゆく/愛を選んで/すべてのことを感謝して/当たり前じゃない/私もまた 誰かに愛されて生きてきた」(CD「ほんの少しのやさしさ」より)

何か固いものが溶け出したように、賛美を聞く会衆の顔に涙が流れます。ほんの少しの優しさの力はとてつもなく大きな祝福の連鎖を生み出します。長年、被災地のためにご支援と祈りを捧げてくださる皆様の上に、今回コンサートを通して出会った方々の上に、イスラエルの祝福が注がれることを信じ、主に栄光をお返しいたします。

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