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失われた10部族 ユダヤ民族とは? -後編-

文:デビッド・ルイス博士(聖書学者)

前回の、「失われた」と言われる10部族が実は失われていなかった…
という記述に驚かれた方も多かったのではないでしょうか。
誤解のないように追記したいことは、ユダヤ人の離散がなかったということではありません。確かにアッシリア捕囚でイスラエルの10部族は離散し、その後さまざまな地に定着していきました。しかし同時に、10部族の中にも、ユダ王国に残った民も多くいたという事実を聖書から確認しました。今回は、聖書に約束されている通り、離散した全ユダヤ民族を帰還させている主の働きを見てまいりましょう。

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イスラエルの地への帰還

エルサレムが荒廃してから70年後、バビロンを征服したペルシャのクロス王によって解放された捕囚の民は、イスラエルの地に大挙して帰還し、神殿とエルサレムの城壁を再建しました。帰還した民の中には、アッシリアとバビロンの異教文化と同化した人も大勢いましたが、アイデンティティーを失わずに帰還した民も数多くいました。この時、イスラエルの全12部族は欠けていませんでした。

エズラとネヘミヤの証言

エズラ記には何度も、全イスラエルの帰還が記されています(エズ2:70、3:11、8:35、10:5など)。また、「イスラエルの部族の数にしたがって、イスラエル人全体の罪のためのいけにえとして、雄やぎ十二頭もささげた」(エズ6:17)とあります。

ネヘミヤ記も同様に「ゼルバベルの時代とネヘミヤの時代には、イスラエル人はみな…」(ネへ12:47)と語り、帰還が始まって長い時間がたった後、12部族すべてがイスラエルに帰還したことを証言しています。

部族のアイデンティティー

イスラエルは12民族ではなく12部族であり、ソロモン王の時代までイスラエルという一つの国家でした。男系によって部族は決まります。例えば、アシェル族の女性がユダ族の男性と結婚したらユダ族となり、息子たちもユダ族を継承します。どの部族に属するかは相続の際に大切ですが、違う部族であっても自由に結婚できました。

聖句、聖句、聖句

英ユ同祖論の著述家たちは、アングロサクソン(Anglo Saxons)のサクソン(Saxons)がイサクの息子たち(Isaac’s Sons/アイザックサンズ)に由来するものと考え、多くの用語をつくりました。実際のヘブライ語では「アイザック」はイハツク、「サン」はベンと言うので、全く似ていません。エルサレムは中東にではなくスコットランドのエジンバラにあったと主張する、途方もない説もありました。さらに、さまよっていたダン部族(Dan)の足跡がデンマーク(Danmark)、ドナウ川(Danub)、ダーダネルス(DarDanelles)海峡などにあったと語る人もいれば、ノアの子孫ハム(Ham)の足跡をドイツのハンブルグ(Hamburg)やアラバマ州のバーミンガム(BirmingHam)にたどろうとした人もいます。これらには確固たる証拠が無く、一つの説にとどまっています。

確かにユダヤ人(イスラエル人)は世界中に離散しました。しかし、民族としてのアイデンティティーを決して失わなかったという点で独特でした。民族性を失った人が全くいなかったという意味ではなく、全体として民族性を失わなかったのです。聖書の預言の正確さは驚くべきものです。ユダヤ人という独特の民族の存在こそが、最も強力な証拠です。これを否定し、現代イスラエルの正統な役割を奪うことは、誤りなき全能の神のことばの権威を教会から奪うことになります。

離散

すべてのイスラエル人が捕囚から帰還したわけではない、というのは事実です。しかし失われたわけではありません。神は「(ヨーロッパだけでなく)すべての国々の間でイスラエルの家をふるう」(アモ9:9)と語られました。彼らはそれぞれの地でふるいにかけられましたが、ユダヤ人/イスラエル人としてのアイデンティティーを失いませんでした。ですから、ペテロが群衆に説教したペンテコステの日に、離散のユダヤ人が全世界から訪れていたのです(使徒2章)。

今日、ほとんどのユダヤ人は自分の部族が分かりませんが、(男系相続権に基づく)ユダヤ人としてのアイデンティティーは保っています。神は全人類の系図を知っておられ、各ユダヤ人がどの部族に属するかも知っておられます。異民族と結婚し血統が薄くなったとしても、神はヤコブのすべての子孫の居場所を知っておられるのです。

新約聖書の証言

イエス時代の敬虔(けいけん)なイスラエル人アンナは、自分がアセル族であることを知っていました(ルカ2:36)。

使徒パウロは自らがベニヤミン族だと証言し、「キリキヤのタルソ出身のユダヤ人で」(使21:39)、「イスラエル人で…」(ロマ11:1)と語りました。「ユダヤ人」と「イスラエル人」という用語は、バビロン帰還後は同義語として使われるようになり、新約時代には普通になっていたのです。

イエスの宣教

イエスは言われました。「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外のところには遣わされていません」(マタ15:24)。イエスが働かれたのはイスラエルの中だけです。異国に離散していたイスラエル人(自分がユダヤ人だと自覚していた)は大勢いましたが、上記の聖句を読む限り、イスラエルに住むイスラエル人が全イスラエルを代表していたように見えます。

また、イエスは次のことばをもって弟子たちを任命されました。「イスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい」(マタ10:6)。この時、弟子たちは後に与えられる、世界中を視野に入れた大宣教命令についてはまだ知りませんでした。当面の間、弟子たちの働きは、当時イスラエルの地にいた、イスラエル人に限定されていたのです。

ペンテコステの日

ペンテコステの日の説教で、ペテロは聴衆に向かって「ユダヤの人々」(使2:14)、「イスラエルの人たち」(使2:22)と叫びます。また、「ですから、イスラエルのすべての人々は、このことをはっきりと知らなければなりません。すなわち、神が、今や主ともキリストともされたこのイエスを…」(使2:36)とペテロは語りました。

預言の成就

かつてパレスチナと呼ばれていた地にユダヤ人が帰還すると告げる数々の聖句があります。何世紀もの間、こうした聖句を字義どおりに解釈するように召されていた敬虔な注解者や聖書教師たちがいたことを見過ごすことはできません。こうした忠実な教師たちが語り、著した内容は、誤りなき神のことばに基づくものです。それを単なる見解だと軽んじることはできません。現にこのことは今の時代に実現しているのです。

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それゆえ、イスラエルの家に言え。…わたしはあなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く。…あなたがたは、わたしがあなたがたの先祖に与えた地に住み…この荒れ果てた地は…耕されるようになる。…『荒れ果てていたこの国は、…人が住むようになった』と」(エゼ36:22、24、28、34、35

エゼキエルは枯れた骨の幻の後で、ユダとイスラエルが一つに結び合わされると宣言しています(エゼ37:16-17参照)。22節に、彼らを「一つの国とする…もはや二つの国とはなら(ない)」と書かれている通り、今のイスラエルは一つとなっているのです。

イスラエルの素晴らしい未来

今のイスラエル国家には、ユダヤ教を実践していないユダヤ人も多く、そのアイデンティティーは保たれていないと異議を唱える人がいます。もしそうであるなら、神はうそつきなのでしょうか。違います。これこそ主が、終末の時代に起こると言われたことなのです。

まず、ほとんど信仰の無いユダヤ人が再び集められて世俗国家を建てます。そして、神の定められた時に大きな霊的覚醒が起こるのです。皆さんは、神が御心を行われるのを待つ忍耐をお持ちでしょうか。神の預言は実に正確です。

あなたの立場は?

この原稿を書いたのは、聖書時代から今なお続くイスラエルの召しを否定する人々に対応するためです。

しかし、正しく信じているだけでは十分ではありません。ヤコブは「みことばを実行する人になりなさい。…ただ聞くだけの者であってはいけません」(ヤコブ1:22)と勧めています。皆さんもいつの日か主の前に立った時、主から「よくやった。良い忠実なしもべだ」(マタ25:21)と言われることを望んでいるはずです。預言は、単なる知的な刺激ではありません。全能の神のご計画を実現させるために、あなたは行動を起こすように召されているのです。神は参加者を求めておられます。終末のドラマの単なる傍観者ではありません。

あなたは、神が召し選ばれたイスラエルを支援するように召されています。たとえイスラエル自身が、この時代における神のご計画をどのように考えていようとも関係ありません。あなたは、この時代における神のご計画の協力者として召されているのです。

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