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ダニエル書からの教訓 -後編-

TEXT: レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

夢も希望も無い捕囚の地で命の危機にさらされながら、ダニエルは固く信仰に立ち続けました。その原動力は、一体どこにあったのでしょうか。後編では、ダニエルの祈りに着目しながら、苦難への対処法を学んでまいります。

ネブカデネザル王が金の像を拝むように民に命じた時(ダニ3章)、ダニエルの三人の友人は、たとえ死が待ち受けていても偶像礼拝を否みました。三人は、神が助け出してくださることをあらかじめ知っていたわけではありません。しかし身の毛のよだつ死の恐怖にあっても、その決心は揺るぎませんでした。三人は王に言いました。「…私たちの仕える神は、火の燃える炉から私たちを救い出すことができます。王よ。神は私たちをあなたの手から救い出します。しかし、もしそうでなくても、王よ、ご承知ください。私たちはあなたの神々に仕えず、あなたが立てた金の像を拝むこともしません(ダニ3:17-18)」。彼らの信仰に報い、神は火の燃える炉から彼らを救い出されました。

ダニエルはいつも驚くほどの勇気をもって王に真理を語りました。真の預言者としての態度でネブカデネザル王に対し、神が王をへりくだらせようとしておられることを告げ、王が7年の間、野の獣のように草を食べるようになると語りました。

ベルシャツァル王から、壁に現れた手書きの文字の解き明かしを依頼された時も同様です。王は、さまざまな褒美や名誉を約束してダニエルを動かそうとしました(ダニ5:16)。しかしダニエルは自分の誠実さを証明するため、賄賂を受け取らず(ダニ5:17)、ネブカデネザルとベルシャツァルの王国に降り掛かる悲運のメッセージを恐れることなく語ったのです。

壁に現れた文字を解き明かすダニエル
Gustav Doré/Public domain/wikipedia.org

ダニエルの品性は広く知られており、ベルシャツァル王の母はダニエルに素晴らしい賛辞を捧げています。「あなたの王国には、聖なる神の霊の宿るひとりの人がいます。あなたの父上の時代、彼のうちに、光と理解力と神々の知恵のような知恵のあることがわかりました。…ダニエルのうちに、すぐれた霊と、知識と、夢を解き明かし、なぞを解き、難問を解く理解力のあることがわかりました…(ダニ5:11-12)

ダニエルをねたんで陰謀を企てた者たちも、彼に欠点を見つけることはできませんでした。「大臣や太守たちは、国政についてダニエルを訴える口実を見つけようと努めたが、何の口実も欠点も見つけることができなかった。彼は忠実で、彼には何の怠慢も欠点も見つけられなかったからである(ダニ6:4)

ダニエルとその友人たちの品性はきよく、義をもって神に従っていました。彼らは、どのような危険が伴おうとも神と神の道に従う決心をしていました。このように、驚くばかりの勇気をもって正義のために立ち上がることができたのは、神との深いきずながあったおかげです。

祈りへの献身

ダニエルは神と深く霊的に交わる人でした。どのような状況下でも、ダニエルはまず祈りました。神がダニエルに託した深い真理は、神に完全に委ねていない人には与えられません。

ネブカデネザル王が最初の危機に突き落とされた時、王は幹部の賢者たち(呪法師、呪文師、カルデヤ人、星占いたち)に、自分の見た心騒がせる夢の内容とその解き明かしを語るよう命じました。それができないと分かると、今度は賢者たちを全員殺すよう命じました。この危機的状況を耳にしたダニエルは、自分と三人の友人にも死刑が課せられることを悟り、王に時間の猶予を願って、この問題について祈り始めました。

それから、ダニエルは自分の家に帰り、彼の同僚のハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤにこのことを知らせた。彼らはこの秘密について、天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚が他のバビロンの知者たちとともに滅ぼされることのないようにと願った(ダニ2:17-18)」。彼らが心を一つにして祈った後、神は夜の幻の中でダニエルに解き明かしを啓示されました。ダニエル書2章20-23節には、知恵を与えてくださった神への美しい感謝の祈りがあります。

あらゆる時にダニエルは祈りました
Antonio Gravantee/shutterstock.com

メディヤの王ダリヨスの時代には、ダニエルをわなに掛けようとするたくらみが持ち上がりました。王は総督や太守に勧められて、30日間、王以外のどんな神や人にも祈りや祈願を捧げてはならないという法令を出しました。この法令を犯せば、獅子の穴に放り込まれます。この時、ダニエルはどうしたでしょうか。「ダニエルは、その文書の署名がされたことを知って自分の家に帰った。―彼の屋上の部屋の窓はエルサレムに向かってあいていた。―彼は、いつものように、日に三度、ひざまずき、彼の神の前に祈り、感謝していた(ダニ6:10)

ダニエルが日に三度祈っていたことに注目してください。このユダヤの習慣は今日も続いています。熱心なユダヤ人は朝に、昼に、夜に祈ります。これはシャハリット(朝)、ミンハ(昼)、マアリブ(夜)の祈りの時として知られています。アートスクロール版のダニエル書注解によると「トーラーによる義務ではないが、ダニエルの時代には既に日に三度祈る慣習が制定されていた。そうでなければ、ダニエルが祈りのために命を危険にさらすことは考えられない」

後に、エズラの時代になって、祈りは正式な形を取るようになりました。www.chabad.orgには「エズラの時代、日々の礼拝の中心となるアミダーと呼ばれる18の祈祷(きとう)が形成された。当時、この基本の祈りは毎日3回、神殿で犠牲が捧げられる時に合わせて祈るものとされた」と書かれています。

ある日エレミヤの巻物を読んでいたダニエルは、捕囚が70年で終わることを知ります。私ならパーティーを開いて、捕囚になっていた人々と一緒に喜ぶところですが、ダニエルは違いました。「そこで私は、顔を神である主に向けて祈り、断食をし、荒布を着、灰をかぶって、願い求めた(ダニ9:3)」。続く4-19節に書かれている祈りは、聖書で最も感動的な悔い改めの一つです。

ダニエルはまず、契約を守られるあわれみ深い神の偉大さについて祈り、続いて人間と共同で働かれる神について祈りました。神は、ご自分を愛し戒めを守る者たちとの約束を守られます。この考えは、イエスの「もしあなたがたがわたしを愛するなら、あなたがたはわたしの戒めを守るはずです(ヨハ14:15)」ということばにも繰り返されています。使徒ヨハネは「神を愛するとは、神の命令を守ることです。その命令は重荷とはなりません。なぜなら、神によって生まれた者はみな、世に勝つからです。私たちの信仰、これこそ、世に打ち勝った勝利です(Ⅰヨハ5:3-4)」と言っています。

次に、ダニエルは自分の民に代わって罪を告白し、悔い改めの祈りを捧げました。反逆、罪、不義、悪を告白し、神の民が神の教えと定めから離れたことを嘆きます。預言者の言葉を聞かなかったことを告白し、無法状態を悔い改め、二度にわたって「不面目」はイスラエルの民のものであると、神の御前に完全にへりくだって祈りました。

捕囚という罰を受けながらも、ダニエルは祈りの中で繰り返し神の義を認めています。モーセの預言を引用し、「このわざわいはすべて、モーセの律法に書かれているように、私たちの上に下りました(ダニ9:13)」と語りました。

最後になってダニエルは、エルサレムと聖なる神殿、そして神の民を回復してくださいと神に嘆願します。「主よ。聞いてください。主よ。お赦しください。主よ。心に留めて行ってください。私の神よ。あなたご自身のために遅らせないでください。あなたの町と民とには、あなたの名がつけられているからです(ダニ9:19)

神に人生を委ねる

もしかしたら、あなたは人生に大きな打撃を受け、苦痛に打ちのめされそうになっているかもしれません。しかし、落胆と痛みの中にとどまる必要はないのです。神はあなたの人生にご計画と目的をもっておられます。神の御前に祈り、あなたの人生を再び主に委ね、そのご計画に従いましょう。そして、義なる行動をもって、絶えず神と交わりながら生きる決心をしてください。目的をもって生きましょう。そうするなら、神があなたのために用意しておられるご計画を見て驚くことになるでしょう。

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