ティーチングレター

昨年は日本にとっても、イスラエルにとっても、大きな苦しみの年でした。このような苦しみの中でも、みことばが与えられていることは大きな恵みです。今月と来月は、有名な詩篇46篇から、私たちの避け所について学んでまいりましょう。

「神はわれらの避け所、また力。苦しむとき、そこにある助け。それゆえ、われらは恐れない。たとい、地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。たとい、その水が立ち騒ぎ、あわだっても、その水かさが増して山々が揺れ動いても。」（詩篇46：1-3）

昨年は、世界中で、自然災害、戦争、経済不安など、多くの困難を経験した一年でした。世界中の指導者たちが、混沌の中で困惑しています。自然災害は特に破壊的でした。

ニュージーランドの地震。オーストラリアの洪水。それらは、黙示録的であると言われました。南アフリカにも洪水。アメリカでは、巨大な竜巻。そして、日本では、Ｍ9.0の大地震とそれに伴う大津波。その後も余震が続き、非常に大きな影響を及ぼしています。

夫のトムと私はイスラエルに住んでいます。中東及びイスラム諸国は、２０１１年から、続けざまに混乱、混沌、戦争、反乱によって揺れ動いています。イスラエルとの和平交渉を拒絶し、パレスチナは国連での国家樹立を試みました。その影響で、イスラエルは、四方八方から非難、攻撃されています。

イラン、シリア、レバノンのテロ組織ヒズボラ、ガザ地区のテロ組織ハマス。これらのすべては、イスラエルを亡きものにしようと躍起(やっき)になっています。また、イスラエルの許可なく海域に入ったトルコの小艦隊との衝突がありました。以前は友好国だったトルコが、この問題を通してイスラエルに背を向けてしまいました。「アラブの春」は、この地域にさらに不安定な状況を生み出しています。アラブの指導者が交代した結果、イスラエルにどのような影響を及ぼすのでしょうか。イスラエルのアナリストたちはそれらの国の状況を捉えようと必死になっています。

世界中の国々が財政困難と戦っており、ヨーロッパのいくつかの国は、完全に財政崩壊寸前の状態です。テレビ画面には、ギリシャ、ロンドンでの暴動、アメリカのウォール街での抗議活動などがたびたび映し出されています。世界の財政担当責任者らは、頭をかきむしって、世界が直面する財政問題の解決を見出だそうと努力しています。

これらの驚くべき出来事が起こっている中、今日の世界では、聖書の価値がますます低下しています。神の道に従うことがもたらす均衡は、歪められてしまいました。私たちは、神の原則を無視することはできません。過去数十年間に、徐々に変化が起きており、それが今日の世界で、社会的ひずみとして表れています。

１９７９年、中国が一人っ子政策を採ったことを思い出してください。その結果、老後に面倒を見てもらうことを確実にしようと多くの女児が中絶されました。息子が親の面倒をみるのが中国の習慣だからです。そして、33年が経過し、現在、女性より3-４千万人も多くの男性がいます。この青年たちは、結婚する相手がいません。神のバランスは、人口過剰を解決しようとした人間の方法によって壊されてしまいました。

アメリカでは、社会保障システムに問題が生じています。第二次世界大戦後のベビーブームによる団塊の世代である私たちが、老齢期に入り定年になります。年金システムは危機的状況です。これから年金を受給する人たちを支える労働人口が足りません。1973年以降、米国で中絶された数が、5300万人以上という事実を考えてください。これは、最も人口の多いカリフォルニア州の3700万人を上回る数です。米国が妊娠中絶を合法化しなかったら、それらの人々が年金システムを支えることになっていたでしょう。目先のことしか考えない政策が、不均衡な社会への道を開いてしまいました。

今日の私たちの世界は、あらゆる種類の不道徳、無法、暴力に満ちています。使徒パウロは、第２テモテ３章で、終末的道徳を解説しています。そこに挙げられた、４節にも及ぶリストの中で、私たちが目にしないものは一つもありません。「終わりの日には困難な時代がやって来ることをよく承知しておきなさい。そのときに人々は、自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、不遜な者、神をけがす者、両親に従わない者、感謝することを知らない者、汚れた者になり、情け知らずの者、和解しない者、そしる者、節制のない者、粗暴な者、善を好まない者になり、裏切る者、向こう見ずな者、慢心する者、神よりも快楽を愛する者になり、見えるところは敬虔であっても、その実を否定する者になるからです。こういう人々を避けなさい。」（Ⅱテモテ3：2-5）そうです。私たちはこのみことばそのままの時代に生かされているのです。

注意を払うときです！

聖書を信じるクリスチャンとして、この事実をただ見て、ただ恐れと驚きで途方に暮れていてはいけないと思います。イエスが終わりの時代について語られたとき（マタイ24-25章）、困難な時代が来ると話されました。しかしこれは、私たちを恐れさせるために言ったのではありません。もう一度、その箇所を読んでください。その困難な時代に、私たちが、どう行動すれば良いかを教えています。目を覚まして油断せず、注意深く見張り、忠実に、賜物を賢く用い、主に信頼する必要があります。

神は今、まことの信じる者たちすべてに注意を促そうとして、叫ばれていると思います。軍隊の指揮官のように、主は、ラッパの音とともに「注目！」と声を発せられています。しかし何人の人が、気をつけの姿勢をとって、主の声に応答しているでしょうか。主のことばに従う準備はできているでしょうか。

ユダヤ暦の新年となるラッパの祭の期間には、角笛の音が、イスラエル中に鳴り響きます。この音は私の耳に、主が、ご自身の民に「道を備えるよう注意を払いなさい」と呼ばれる音に聞こえます。私たちが生きているこの重大な時代、怠けることなく、時代の印にしっかりと目を留め、独り善がりの考えに陥らないよう注意する必要があります。遊びのときは終わりました。今こそ真剣になるときです。しっかりと目を覚まし、直立し、私たちの王に敬礼し、指示を仰ぐときです。

エペソ書は、神の御国とその光の中を、生きるように強く勧めています。「あなたがたは、以前は暗やみでしたが、今は、主にあって、光となりました。光の子どもらしく歩みなさい。―光の結ぶ実は、あらゆる善意と正義と真実なのです―そのためには、主に喜ばれることが何であるかを見分けなさい。・・・明らかにされたものはみな、光だからです。それで、こう言われています。『眠っている人よ。目をさませ。死者の中から起き上がれ。そうすれば、キリスト（メシア）が、あなたを照らされる。』そういうわけですから、賢くない人のようにではなく、賢い人のように歩んでいるかどうか、よくよく注意し、機会を十分に生かして用いなさい。悪い時代だからです。ですから、愚かにならないで、主のみこころは何であるかを、よく悟りなさい。」（エペソ5：8-10、14-17）。主を信じる私たちは、今こそ行動を起こすときです。

主の導きを求めて

ＢＦＰ（ブリッジス・フォー・ピース）は、全スタッフの定例祈り会に加えて、運営チームも週に一度、早朝の祈り会を持っています。１時間半、聖書を読み祈り、個々に受けた啓示や洞察、祈りの課題を分ち合います。それから共に祈りの中で神を求めます。この時間は私にとって、とても貴重です。その多くがイスラエルと世界中の教会のために一致して祈る力強い時間だからです。

昨年は多くの苦しみの中で、幾度も詩篇46篇が引用されました。地震が日本を直撃したとき、私はこの箇所を読みました。「神はわれらの避け所、また力。苦しむとき、そこにある助け。それゆえ、われらは恐れない。たとい、地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。たとい、その水が立ち騒ぎ、あわだっても、その水かさが増して山々が揺れ動いても。」（１-３）。

イスラエルの周辺国で暴動が発生したときにも読みました。「神はそのまなか［イスラエル］にいまし、その都はゆるがない。神は夜明け前にこれを助けられる。国々は立ち騒ぎ、諸方の王国は揺らいだ。神が御声を発せられると、地は溶けた。万軍の主はわれらとともにおられる。ヤコブの神はわれらのとりでである。」（５-７）。

この時代に生きるためには、常に神を必要とします。現代と同じ状況が鮮やかに46篇の中で描かれています。この詩篇の注解書を読んでいて、多くのユダヤ人とクリスチャン注解者が、これが預言的詩篇であると信じている点に、私は注目しました。アートスクロール注解書（※ユダヤ教の伝統注解を基礎とした注解書）では、詩篇46篇と、マゴグのゴグ（エゼキエル38章）の戦い、そしてメシアの来臨との関係性について、繰り返し言及しています。

この世には、問題や悲しみがこれからもあることを私たちは知っています。今、多くの人が、経済的困難、病、さまざまな試練に苦しんでいます。もしかすると、あなた自身もうなずきながらこのティーチングレターを読んでいるのかもしれません。これからさらに戦争が起きるでしょう。地震も再び起きるでしょう。しかし、神もまたそこにおられます。私たちが励まされるのは、この詩篇46篇には、苦しいときのことばかりではなく、神が私たちと共におられ、避け所であると書かれていることです。

後編では、英語で「避け所」（refugee）と訳される、三つの異なったヘブライ語について、その意味と励ましを聖書から学んでまいります。